今日は席替えをするらしい
気まぐれな担任がやると言い出した
この担任の気まぐれというのは本当に気まぐれで
突然「めんどくさい」と言ってやめてしまったりするらしい
自分は何もしないのに何がめんどうなのだろうか

ともかくも過去に年間2回以上席替えをしたことがないらしい担任なので
今回の席替え如何で、進級までの数ヶ月は苦しいおもいをすることになる

さて、それほど重要な席替えの方法だが…
どうやら無難にくじ引きとなったらしい

順番に回ってきたくじを引き、番号を見てみると、場所は悪くない
列こそ真ん中だが、一番後ろの席をあてた
ちなみにあの娘は…と思い彼女の姿を探してみると
どうやら運悪く一番前になってしまったようだ
無事に席替えも終えたことだし残りのHRは寝ることにしよう…

誰かに揺すられ体を起こし、寝ぼけたままの目で自分を起こした人物を見て

イスから転げ落ちた
そりゃ驚きもする。起きて目の前にいたのはいつも8Mの距離から眺めていたあの娘なのだから

「大丈夫?」
と、柔らかな微笑みを称えながら聞いている
僕は言葉もなく、ただ頷くのみだったけど
そんな僕に「HRでも寝ちゃうのはあんまりよくないと思うな」
笑顔で言う。わけのわからない僕はやはりただ頷いているだけだった
僕の態度がおかしかったのか、ちょっと笑顔の色が強くなって
「今日から隣の席になったからよろしくね」
笑顔のままで、僕の隣と…

って、隣!?
やはり頭がついていかないままだけど彼女は
「また明日ね」と言って教室を出て行った

待て、隣の席は名前も覚えていないような女の子だったはず
とか考えつつ呆けていると、あいつがやってきて
「あれ、まだいたのか?」と聞いてくる。ほっとけ
しかし、何がなんだかわかっていない僕は「僕の隣の席って後から替わった?」
思わず素直に聞いてしまったもんだからこいつはニヤっと笑って
「あの娘が隣になったんだから良かったじゃないか」と言われてしまう
秘密を知られていることに照れ、戸惑い「……帰るよ」と言うのが精一杯だった

帰り道、頭の中は大混乱。心は爆発寸前だった
明日からどんな顔して学校に行けばいいのだろう
嬉しいのに悩んでしまう、そんな複雑な夕暮れだった